質問力と得点力
質問の仕方で、なんとなくその生徒の学力がわかることがあります。
質問にも上手、下手がありそれは結局「得点力」につながっています。
ライオンのパラドックス
話を分かりやすくするためにある小話を。
ジャングルで、ある探検家が人食いライオンに捕まりました。
彼は「どうか助けてください」と懇願します。
するとライオン
「じゃあ今俺が考えていることをずばり当てて見せろ!そうすればお前を助けてやろう」
・・・・
探検家は見事この問題を解決し、難を逃れます。
さて、探検家は何と答えたのでしょう。
探検家
「あなたは私を食べようと思っていますね。」
こういってライオンが考えていることを見事当ててみせ、
命拾いをしたのです。
これは一種の論理パズル。
探検家の質問に対しライオンが
「その通りだ」と答えれば、ライオンは考えを当てられたことになり探検家を見逃します。
また、ライオンが「そうは思っていない」と答えれば、
こちらもライオンは探検家を食べないと考えていることを認めることになり、探検家は食べられないことになります。
この小話はあるテレビドラマでの一幕です。
どうでしょう。みなさんは答えられましたか。
質問するとは自分を相手にさらすこと、相手の立場を考えるということ
このパラドックスではライオンの気持ちになって、自分の立場(食われそうになっている状況)を考えて
・〇〇と聞いたらなんと答えるか
を何通りか考える必要があるんです。
見えにくい部分ですが、この探検家の成功の裏には
「食われそう」という
恐ろしい状況をいったん認めてしまう勇気
が成功の鍵となっていると私は思います。
これって意外に難しいんですよね。
こんな状況がリアルにあったら、恐怖で足は震えます。
食べられそうになっている現実から逃げたくて
「あわわわわ、、、あな、あなあ、あなたは、あなたは私を食べたくないと思っている!(ライオンがぶりんちょ)」
そう答えてしまう人もいるはずです。
実は勉強の質問に関しても同様のことが言えます。
「数学が苦手なんですけど、何をしたらいいですか」
こういった質問を、授業中やこのブログ内でも受けることがあります。
この手の質問には答えようがありません。
だって
・数学って中学?高校?
・苦手って教科書も読めないくらい?それともほかの教科は医学部合格レベルでそれに比べてちょっと伸び悩みってこと?
・そもそも医学部目指してるのか、定期テストとかを想定しているのか
・・・・・
意外と答えるほうも大変です。
こういった質問をする場合
その生徒は、得点力が低い傾向にあることを私は経験的に知っています。
そして、自分の苦手なところや、できていないところをさらすことを避けている
そういった心理が隠れていることもわかります。
・〇〇と聞いたら、△△か、□□のどちらかの答えが返ってきそうだ
・質問に満足に答えてもらうためには、〇〇と△△の情報をこちらから伝える必要がある
・〇〇と聞いたら、△△のことを聞いていると勘違いされそうだから、先に□□を伝えておく必要がある
こういう風に、質問の前に相手と自分の立場を客観的に考えておく必要があります。
もっと言えば、自分の弱点をさらけ出す必要があるんです。
当たり前ですが、質問者について
・何ができていないかがわかればわかるほど
・どれだけわかっていないか知れば知るほど
答えるほうは答えやすいんです。
別に捕って食おうなんて、私は思ってないんですよ。
ただ、勇気をもって聞いてくれた人の役に立てれば
そう思っているだけのおじさんですから。
得点力と質問力
以上のように質問にはコツが2つあります。
①どう質問すれば相手が答えやすいか、相手の気持ちになって考えること
②勇気をもって自分の全貌をさらけ出すこと
実はこれ、得点力のある生徒がテストのときに使う思考回路と同じです。
①出題者がどのような意図で出題をしているのか考える、自分の解答が採点者に伝わりやすいかを考える
②解けるかどうか、そしてうまい解答かどうかわからないけど、できるところまで自分なりに書いてみる
逆に得点力が低い生徒は
①出題者の意図は考えない、採点者にどう伝わるか考えない
②解けなさそうなら白紙(下手な解答を見せたくない)
習慣的に、自分の弱点から逃げてしまう人がいることを私は知っています。
そして、そういう生徒が成長のチャンスを逃していることも。
失敗を恐れぬ勇気と相手を考える思考が得点力と成長を生みます。
質問に答える人も、問題を出題する人も
ライオンじゃない
みなさんの成長を願い、いつでも質問を受け付けている教育者なのです。
安心して、現状をさらけ出してもよいのです。
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