英文解釈に時間がかかるという人は多いもの。
そういった人の参考になると思います。
全文を日本語にしていませんか?それが遅い原因の根本かもしれません。
英語を英語で理解することは重要です。
以下の記事で、英語を読むときの頭の中を文章で表現します。
英語と日本語は本質的に違いがあります。
このことは専門的に言及するととんでもないので、簡単にいうと
英語は文を見たら、だれでもその絵が描けるように表現が工夫されている
ということに尽きます。
そのため、主語が必ずありますし、複数形と単数形、定冠詞のthe ,不定冠詞など日本語にない言葉が使われています。
その点に注意すると、英語を英語で読む場合は「絵」を浮かべることになります。
長文解釈などで、時間が足りていない場合は練習不足が理由の主因ですが、絵に浮かべる習慣を訓練すると結構読むのが速くなります。
例文:Thus the familiar paper clip has long been widely admired by architects and designers for being a graceful loop-within-a-loop spring that silently does its job.
これはある質問者さんからの例文です。この文と、その質問に対する回答を、やや改変してどのように考えるか書いていきます。
一旦訳を考えてみて以下の解説を見てください。
(以下脳内の解説)
thus:「こうして」
the familiar〜
解説: theという言葉は、頭に浮かべる「絵」がはっきりする様子です。
そのため、例えば
a car なら頭に浮かべるのはデフォルメされたおもちゃのような車が浮かびますが、the familiar car ではもっとはっきりと 「プリウス」だったり、日本なら「N-BOX」だったりを浮かべるでしょう。みんな持っている車ですからね。
そういった意味で、the familiar ははっきりした、「おなじみの」のイメージになります。もっと言えば、familiar はみんなが同じものをもっているような、なじみのある、というイメージです。
ここまでで、後に続くpaper clip (「あの」黒い持ち手の、先生たちが紙を束ねるのに使っている)が思い浮かぶか、が分かれると思います。(日本のクリップのことなら、ですけどね。)
loop-within-a-loop が?となる人は多いでしょう。ただ、クリップの絵が浮かんでいるならば、ぐりぐりしたクリップに絵が瞬時に差し変わると思います。
私も質問者さんに回答する段階では
これを想像していましたが、loop-within-a-loop spring という表現がしっくりきませんでした。
それでよくよく考えると、
これがしっくりくるイメージです。
あのクリップの、くるくる輪の中に輪のある、優雅なデザインと、物を挟んでもうるさい音もすることなくちゃんとがっちり紙を挟む様子を、architects and designersが想像しながら、ほれぼれしている。
こんな感じのイメージが、
「英語を英語」で理解するという段階ですね。
解釈ではこうやって読み進めます。
読むのが速くなります。文章化しませんから。
もし和訳を聞かれたなら、その時だけその絵を日本人ならどう表現するかを意識して訳します。
「こうして、かのおなじみのクリップは、その美しく輪の重なった、静かにきっちり機能する形(spring)をして、建築家やデザイナーに広く好まれてきたのだ。」
のような訳になります。