「教科書の文章はわかりにくい」
よく耳にする意見です。
このような感想を持っている場合、教科書の役割を誤解している可能性が高いと思います。
教科書は読みにくいように書いてある
そのように書いてるんです。
教科書の説明文は、それまでに知らないことを教えてくれるものです。
その説明には、ある特徴があります。
例えば数学の教科書で「単項式」の説明は
数や文字およびそれらを掛け合わせてできる式を単項式という
となっています。
確かに固い文章で、読みづらいかもしれませんね。
一般的にわかりやすいと思われる文章に書き替えてみましょう。
数字や文字でできた、5x、2yなどを単項式とよびます。
随分「わかりやすい」ですね。理解も簡単な印象があります。
しかし書き換えた説明文は、数学的に問題があります。
この説明では
5/x や x-3 などが単項式ということになってしまいます。
(これらは単項式ではありません。)
3や-5は単項式ではないのかもしれません。
(実際は単項式です)
つまり簡素化したためルールが曖昧なのです。
「わかりやすく簡単に」説明した文章では補いきれない「ルールや定義」が存在するのです。
それを省いて「簡単にわかる説明」にすると誤解や間違いを許してしまいます。
教科書の大事な役割は、新しい知識を「間違いなく正確に」伝えること
ですから
必ず正しく書かれています。
それでも固い言葉で書かなくても・・・
と思われるかもしれません。
しかし、そうすると新たな問題が生まれます。
数や文字およびそれらを掛け合わせてできる式を単項式という
これをわかりやすく正しく書き直すと・・・・
数字だけの式(たとえば5とか-7)、文字だけの式(たとえば aとかx)、文字と数字を掛け算しただけでできる式(たとえば-2xとか8yのような式で、5/xは割り算だからだめ、x²はいいけどルートは1/2乗だから掛け算だけではできないからだめ)を単項式という
長い文章で、あまりわかりやすいといえなくなります。
用語の意味がわかっている人からするとくどい説明になりますよね。
つまり教科書は
・だれが読んでもそれだけで正しく
・既出の用語を使ってできるだけ簡潔に
書かれています。
そもそも教科書に書いてあることは
簡単な事ではないし
新しく学ぶもので、知らないことなので
だれにでもわかりやすく、簡単には書けません。
それをわかりやすく簡単にするには
読み手である自分が考えて読み解くしかありません。
数や文字およびそれらを掛け合わせてできる式を単項式という
↓
数字だけの式(たとえば5とか-7)、文字だけの式(たとえば aとかx)、文字と数字を掛け算しただけでできる式(たとえば-2xとか8yのような式で、5/xは割り算だからだめ、x²はいいけどルートは1/2乗だから掛け算だけではできないからだめ)を単項式という
このように
教科書を読んだとき、
先ほどのわかりやすいけど長い文章に自分で考えて読み換えることがとても大事です。
教科書は
・読み手全員に誤解を生まないように・・・・一般的に
・簡潔になるよう、用語を使って・・・・抽象的に
書かれています。
綺麗に仕分けされた、洋服ダンスのイメージです。
読み手はそれを自分の知識にするために
・自分のわかる言葉に言い換えて・・・・個人的に
・例を考え、当てはめて・・・・・具体的に
読む必要があると思います。
仕分けされた洋服ダンスを一つ一つ開けて中身を確認するイメージです。
教科書の読み方がわかっていると、生きた知識が増えます。
教科書を読むだけで力がつきます。
意外に自分がわかっていない用語をなんとなく使っていることに気づきます。
「多項式」や「整式」の意味を正確に言える受験生は非常に少ないと思います。
教科書の説明文を読んだ後、その内容が深く理解できることが大事です。
実際、入試問題のほぼすべてが教科書に書いてあることを理解していれば解けてしまいます。
ただし、
教科書を理解することそのものが大変な時は教科書は基本にしない方がよいでしょう。
数学の得意な人向けの教材だと思います。
まとめ
・教科書は自分で考えて読み解く
・教科書は自分のレベルにあっているかが大事
次は例題部分の使い方を書きます。
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